M&Aの売り手側のメリットとデメリットは?リスクを抑えた契約を!

M&Aの メリットとデメリット は、売り手と買い手が異なるため、立場に合わせて事前に確認しておくことが大切です。メリットを最大限得られるように、またデメリットを極力抑えられるようにM&Aを実行しましょう。ここでは、M&Aの売り手側のメリットとデメリットをわかりやすく解説します。

M&Aの売り手側のメリット

M&Aの売り手側のメリットは次のとおりです。

後継者問題の解決

中小企業は、後継者不足によって、やむを得ず廃業するケースがあります。自分の子供や親戚を後継者に選出する親族内承継が主流ですが、「後継者に相応しい人物がいない」、 「後継者になる意思がない」などの理由で、後継者不在の状況が続く場合があるのです。

「後継者になる意思がない」などの理由で、後継者不在の状況が続く場合があるのです。

社員を後継者に選ぶ方法もありますが、親族内承継と同じく、後継者に相応しく承継の意思を持つ社員がいないケースも少なくありません。そこで、M&Aによって企業や事業を第三者に譲渡すれば、後継者問題を解決できるのです。

経営者の資質を持ち、M&Aによる事業拡大やシナジー効果によって、さらなる発展を志す人物であれば、安心して譲渡できるでしょう。

社員の解雇を免れられる

後継者不足によって廃業を余儀なくされた場合、社員の解雇が必要となります。社員とその家族が路頭に迷うことは、経営者としても避けたいところでしょう。これまで会社を盛り立ててくれた社員に迷惑をかけたくない場合、M&Aで第三者に企業を譲渡することで、社員の雇用を維持できます。

場合によっては待遇や働く環境は変わりますが、それでも雇用を維持できることは、従業員と経営者、買い手企業にとってメリットと言えるでしょう。

現経営者が利益を得られる

会社売却の際には、企業価値に基づいた売却益を得られます。企業価値が高いほどに売却益も高くなり、より多くの現金を手元に残せるのです。十分な現金を得られれば、早期リタイアして隠居生活に入ることも可能です。

また、新しい事業を始める際の資金にしたり、残っている事業に投入したりと、自由に活用できます。売却益は、今後の経営で得られるはずの利益を一度に得られるものと考えていいでしょう。コツコツと経営を続けるのではなく、一気に利益を得て次のビジネスチャンスを掴むのも1つの方法です。

また、いつまでも継続的に利益を得られるとは限りません。世の中の移り変わりは激しいため、特定の商品やサービスがヒットしても、数年後にはほとんど売れなくなっている可能性もあります。そのため、早い段階で会社売却をして、次に繋げることも検討した方がいいのです。

買い手の経営資源や販路を得られる

M&Aで買い手企業の傘下に入れば、買い手が持つ経営資源や販路による恩恵を得られます。十分な経営資源を持たない中小企業は、激動の業界において勝ち残ることが難しく、新たな試みなしに経営を続けることにはリスクを伴います。

買い手の豊富な経営資源を活用し、新たな販路で商品やサービスを提供できれば、より大きな利益を得られるようになるでしょう。

また、買い手企業の規模が大きい場合は、金融機関からの信用が厚くなり、資金調達がスムーズになる可能性があります。資金調達がスムーズになれば、事業規模をさらに拡大しやすくなるでしょう。

個人保証を解除できる

多くの中小企業は、会社の経営に関わる資金の借り入れに個人保証を適用しています。会社が廃業し、借入金を返済できなかった場合には、経営者が返済していくことになるのです。会社の借入金は多額であることがほとんどのため、今後の人生に大きな影響を及ぼすでしょう。

会社売却すれば、個人保証を解除できる可能性があります。ただし、M&Aの最終契約書に「個人保証を解除する旨」を記載しなければなりません。また、個人保証の解除を買い手が承諾するとも限らないため、事前の交渉と確認が必要です。

他の事業に集中できる

採算が取れない事業を売却し、主力事業1つに絞ることで、利益を伸ばしやすくなります。また、売却益を投入することで、主力事業を拡大できるでしょう。不採算事業をそのままにしておくと、企業全体の利益に悪影響を及ぼすうえに、経営者の時間と労力を無駄に消費してしまいます。

そのため、不採算事業は早めに売却することが大切です。

廃業のコストがかからない

後継者不足で廃業する場合、設備や在庫の処分や税務処理の代行、社員に対する補償などに多額の費用がかかります。さらに、個人保証による借入金の返済にも追われることになり、今後の生活に支障をきたす可能性があるのです。

会社売却であれば、このようなコストは一切かからないうえに、売却益によって今後の人生の選択肢を増やせます。

M&Aの売り手側のデメリット

形だけの経営者になる可能性がある

M&Aのデメリットを確認しておき、できるだけリスクが低い形で実行しましょう。売り手側のデメリットは次のとおりです。

企業の傘下に入り、経営者として残る場合には、経営者の権限が小さくなることで、形だけの経営者になる可能性があります。経営方針や企画立案、目標設定、人事異動など、様々な業務を買い手が行うことになるため、場合によっては不満を感じることもあるでしょう。

しかし、企業の成長を踏まえると、その方が良い結果に繋がるとも考えられるため、必ずしもデメリットにはなりません。また、経営者の権限を少しでも保ちたい場合は、M&Aの成立前に交渉しておく必要があります。

しかしながら、買い手は明確な目的を持って買収するため、経営者の権限を保つことで不利益が生じる場合は、承諾されないでしょう。その際には、傘下に入る以上は権限が小さくなるのは仕方のないことと考え、割り切ることが大切です。

社員が退職してしまう可能性がある

中小企業の場合、経営者の手腕や人格によって、社員が高いモチベーションを保てているケースがあります。M&Aで経営者が退任したり、権限が小さくなったりすることで、社員がモチベーションを保てなくなり、収益が低下したり退職してしまったりする恐れがあるのです。

また、普段とは異なる業務を指示されたり、経営方針が変わったりすることに不満を感じ、ストレスを抱えてしまう場合もあるでしょう。社員同士が秘密裏に話し合い、一斉に退職することも考えられます。

買い手は、優秀な人材を獲得することを目的の1つとしている場合もあるため、社員が一斉に退職すれば、責任を問われる可能性もあります。社員に対しても売却に至った背景やメリットなどを十分に伝え、社員が納得し、退職しないように理解を求めることが大切です。

取引先や顧客を納得させることに手間がかかる

取引先や顧客は、経営者の人柄に惚れて長年付き合ってきたケースがあります。経営者が変わったり、買い手の傘下に入って商品やサービスの質が変わったりすると、契約を打ち切られる可能性があるでしょう。

また、営業担当者が変わることでサービスの質が落ちたり、コミュニケーション面で支障をきたしたりする場合も反感を買ってしまいます。信頼を積み重ねることには時間がかかりますが、崩れるのは一瞬です。

長年築いてきた信頼が崩れることは、経営者としても望むところではないでしょう。そのため、M&Aを実行する前に、取引先や顧客に説明し、理解を求めることが大切です。会社売却後に、どのように商品やサービスが変わるのかを踏まえ、信頼を維持できるように説明しましょう。

交渉が決裂するリスクがある

M&Aは、買い手が見つかればすぐに契約成立になるのではなく、お互いに諸条件を提示し、合意したうえで最終契約を締結します。定める条件は、売却額や社員の扱い、スキーム、個人保証の解除など様々ですが、最初から全ての条件が合意されることは少ないでしょう。

そのため、基本的に条件交渉が必要となります。交渉では、買い手と売り手が譲り合い、双方が納得できる形で納める必要がありますが、場合によっては一方に不満が残る結果となるでしょう。

その際には、どちらかが我慢をしてM&Aを成立させるか、全て白紙に戻すかを選ぶことになります。全て白紙に戻した場合、数ヶ月かけて進めてきた努力が水の泡になるでしょう。売却できるものと思い込んでいたことで、経営に対するモチベーションが低下し、業績悪化に繋がる可能性もあります。

このような事態を防ぐために、買い手と売り手の間に立ち、双方にとって納得できる契約を促す「仲介会社」や、買い手と売り手のそれぞれにつき、良い条件での契約成立を促す「アドバイザー」に依頼することが大切です。

売却のために企業や事業の成長が必要な場合がある

M&Aは、すぐに買い手がつくとは限らず、場合によっては企業価値を高めるために、企業を成長させる必要があります。収益性や安定性、独自性が高い企業であれば、企業価値が高くなります。

現状では、買い手がついても希望売却額で契約できない可能性が高い場合は、必要に応じてコンサルティングを依頼し、期限つきで企業価値を高めることが大切です。また、企業価値が高くないと思っていても、買い手が求める企業の条件を満たしており、十分な額で契約できる場合もあります。

買い手企業はシナジー効果を期待しているため、売り手企業の収益性や安定性が低くても、メリットを得られる可能性が高い場合は前向きに検討します。

そのため、最初から買い手がつかないと思い込まず、まずはM&A仲介会社やアドバイザーに相談することをおすすめします。

まとめ

会社を売却することで、後継者問題や社員の雇用維持、個人保証の解除など様々なメリットを得られます。ただし、交渉で条件を提示し、買い手が承諾しなければならない場合もあるため注意が必要です。デメリットもありますが、事前準備や専門家のサポートによってリスクを抑えられます。良い結果となるように、適切な計画のもとでM&Aを進めていきましょう。

【参考URL】

https://mastory.jp/ma%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88                                      https://mastory.jp/ma%E3%82%92%E8%A1%8C%E3%81%86%E3%83%87%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88#contents1

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